政華流水引アートの作品の主なモチーフは季節の花々ですが、梶政華の約半世紀にわたる作家活動の間には、花以外に色々な作品を作り続けています。 これらの作品たちは、その他の素材を扱う作家と同様に、水引と言う素材の可能性を探り続ける過程で生まれ続けてきたもので、現在でも続いています。 ここで、いくつかの分類に分けて梶政華の作品を紹介します
目次
1. 和の人形たち
2. 動物たち
3. 花
4. その他(額装、水引の小物たち)
和の人形たち
端午の節句 (鎧・かぶと)
この作品は、梶政華がまだリボンフラーの講師をやっていたころに初めて取り組んだ水引の大型作品になります。 五月人形を参考に一つ一つのパーツを作り組み立てたものです。実は、水引で花を作る前の作品です。 この作品を最初に展示したのはリボンフラワーのグループ展、その他三越デパート等にも展示して好評を得ました。 梶政華 写真集「水引・アート」に掲載作品
祝い太刀 (若武者の五月人形)
作製時期は、上記の鎧かぶとと同じ頃になります。知人の紹介により日本人形店から頭・手・脚などのパーツを100組入手させていただき、既存の日本人形を参考にボティを作り上げたものです。以前は教室で教えていた作品ですが、現在パーツの入手が難しいので教える事ができません。これと同じ作品を2002年にフランス・パリの日本文化会館に寄贈させて頂きました。
梶政華 写真集「水引・アート」に掲載作品
宴
この人形は、上記の祝い太刀の武者人形とは違い、一体しか作らなかった作品です。既存の人形の着物を取り外して水引で作った着物を着せたものです。
梶政華 写真集「水引・アート」に掲載作品
動物たち
丹頂鶴
北海道旅行の際、丹頂鶴の求愛ダンスを目の当たりにして創作意欲に掻き立てられ作った作品になります。作製時期は時代が昭和から平成に移るころ。苦労した点は脚と広げた羽の表現です。もともと丹頂鶴は好きだったのでいつかは作ってみたいと思っていた作品になります。
梶政華 写真集「水引・アート」に掲載作品
日本カモシカ
「実物大の日本カモシカは作れますか?」と、知り合いの水引関連の会社社長からの問い合わせに、「出来ると思います」と回答したために作る事になった作品です。
日本カモシカは長野県の県獣で、本作品は現在長野県飯田市の水引博物館に展示されています。使用した水引は5~6万本で完成までに約二年を費やしました。1995年頃の作品になります。
雉
作製時期は、丹頂鶴と同じ頃。日本の国鳥なので作ってみたかった作品になります。苦労した点はボティの形づくりです。 梶政華 写真集「水引・アート」に掲載作品
花
カサブランカとキングプロティア
梶政華の代名詞と呼ばれる「カサブランカ」と「キングプロティア」です。 こう呼ばれる様になったのは、はじめての銀座の個展の頃からです。梶政華の作品の中に度々表れている為こう呼ばれているのですが、大きくて堂々としているところが好きな花たちです。
写真は、2007年羽村市生涯学習センター「ゆとろぎ」で開催した個展の時の作品。カサブランカとキングプロティアの他にミルトニア、オンシジューム等をアレンジしたものです。
菊の懸崖
梶政華がまだリボンフラーの講師の頃、水引を用いて初めて作った展示会用の花の作品が菊の懸崖になります。この作り方は梶政華のオリジナルであり、(梶政華の)母と苦労しながら完成させた思い出があります。
写真は、2017年の政華流水引アート作品展のもの。
蘭たち
代表的なものは胡蝶蘭、シンビジューム、オンシジューム等があり、和から洋、南洋の華やかな蘭たちまで作り続けています。「蘭」は花の王様だと思っているので使命感に燃えてこれからも作り続けます。
写真は、2019年の政華流水引アート作品展のもの。これはカトレア・シンビジウム・ミルトニア・オンシジウム・パフィオペデラム・プロティア・アンセリウム・ジンジャー・アイビーなどで構成されています。
季節の花々
桜、スイセン、椿、菖蒲、等々と日本の四季に合わせて作り続けているのが季節の花々になります。水引アートの教室には、「鶴と亀ではなく水引でお花が作りたい」と通われる生徒さんが多いので、教室始めたころから現在まで、ただひたすらに作り続けているテーマとなっています。
写真は、万年青、千両、水仙等を2004年新春の高輪プリンスホテルに展示した作品になります。
その他
額装
人まねはやらない、オリジナルにこだわる梶政華が、人がやっていない事をやってみたいと作り始めたのが水引の額装になります。水引でいろいろな表現が出来る事に気が付いた頃にこれで絵を描いてみようと思い作り始めました。
写真はさくらをテーマにした水引の額装。2003年に福生市石川酒造での水引アートグループ展にて展示したもの。
アクセサリーや小物
水引で花のパーツを作り始めたころに、それぞれのパーツを組み合わせればアクセサリーが作れることに気が付き作り始めたものがアクセサリーや小物たちになります。これらをビーズやアクセサリー金具と組み合わせて実用性を高めた事と身に着けた感じが軽いため、口コミで人気が広まり現在でも展示会やデパートでの販売の主力となっています。
写真は1994年に出版した「水引アート入門」に掲載したもの。